なぜルビーは、時代を超えて人を魅了するのか
2025.11.26
宝石店のショーケースに並ぶ数々の石。その中でもひときわ強い存在感を放つのが、深紅に輝くルビーだ。ただ赤いだけではない。まるで燃える炎の芯が宿ったような、内側から湧き上がる生命力。その光に心を奪われる人は、時代が変わっても後を絶たない。
ルビーの人気は、その色が持つ象徴性に大きく支えられている。赤は古来より、情熱、愛、勇気、そして生命そのものを表す色として尊ばれてきた。特に“ピジョンブラッド”と呼ばれる濃密な赤は、世界中の宝石愛好家の憧れの的。美しいだけでなく、産出が少ないためにますます価値が高まる。
その輝きには、歴史の重みも宿る。王侯貴族が身につけてきた記録は枚挙にいとまがなく、戦場へ向かう戦士のお守りとして使われた時代もあったという。ルビーを手にすることは、古の人々が大切にしてきた願いや祈りを受け継ぐことでもあるのだ。
さらに、ルビーは実用性にも優れた宝石だ。硬度はダイヤモンドに次ぐ“9”。日常使いのジュエリーとしても非常に丈夫で、婚約指輪や記念日の贈り物にも選ばれやすい。象徴性と耐久性、その両方を備えているからこそ「長く愛する」ことができる。
そして忘れてはならないのが、資産価値としての側面だ。特に高品質のルビーは流通量が限られ、年々価格が上がり続けることも珍しくない。身につける楽しみと、持つことの安心感。その両方が得られる宝石はそう多くない。
7月の誕生石として、また結婚の節目を祝う記念石として、ルビーは多くの人の人生の瞬間に寄り添ってきた。「特別な日」にふさわしい輝きを放つからこそ、人はこの石を選び続けるのだろう。
深紅のきらめきに吸い寄せられるように足を止めてしまう──。そんな不思議な魅力を持つルビーは、これからもきっと、人の心を燃え上がらせ続けるに違いない。