ヴィンテージシャネルの買取価格が安いのはなぜ?
2025.10.01
― 華やかなイメージの裏側にあるリアルな市場事情 ―
「昔買ったシャネルのバッグ、ヴィンテージだし高く売れるはず!」——そう期待して査定に出してみたら、意外にも驚くほど低い買取価格にがっかり…そんな経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。
ラグジュアリーブランドの象徴とも言えるCHANEL(シャネル)。そのクラシカルなデザインや気品ある佇まいは、世代を超えて多くの人々を魅了してきました。しかし、**「ヴィンテージ=高価買取」**というイメージが必ずしも現実と一致するとは限らないのです。
今回は、なぜヴィンテージシャネルが思ったよりも安く買い取られてしまうのか、その理由をいくつかの視点からひも解いてみましょう。
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1. コンディションの差が価格に直結する
シャネルに限らず、ブランド品の査定において最も重視されるのが**商品の状態(コンディション)**です。ヴィンテージアイテムは年数が経っている分、どうしても革の劣化・金具の剥がれ・内部の汚れなどが避けられません。
特にシャネルの代表作「マトラッセ」などはラムスキン素材が多く、非常にデリケート。保管状態が完璧でない限り、使用感が査定額を大きく左右します。
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2. 流通数の多さとモデルの人気差
一部の限定モデルを除けば、シャネルのヴィンテージバッグは長年にわたり大量に流通してきました。そのため、中古市場においても供給が多い=価格が上がりにくいという現実があります。
さらに、人気の高いモデル(たとえばダブルフラップのチェーンショルダーなど)であれば多少古くても評価されますが、逆にニッチなデザインや使い勝手が悪い型は需要が少なく、買取価格も控えめになりがちです。
特に「Wフラップ・マトラッセ」「チェーンウォレット」「キャビアスキン」は流通量が多いため、状態が並以下であれば価格は大きく下落します。
一方で、1990年代のゴールド金具・ヴィンテージロゴ系・ミニマトラッセなど、一部プレミアモデルは依然高値維持しております。
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3. リセール市場のトレンド変動
中古ブランド市場にも“流行”があります。ある年にはヴィンテージのブームが来て価格が高騰することもありますが、別の年にはモダンでミニマルなデザインが好まれる傾向になることも。
シャネルにおいても、「ココマークが大きすぎる=時代遅れ」と評価されることがあり、一部のヴィンテージデザインが今のファッショントレンドとマッチしないという点が、価格に影響することもあります。
4. 現行ラインとの価格競合による下落圧力
現行のシャネル製品は、近年の度重なる価格改定により、数十万円〜100万円超のハイエンド商品が主流です。それに伴い、中古市場でも現行ラインの中古が高値で流通しており、比較対象としてヴィンテージが割安に見える傾向が出ています。
特に、**ユーザーが「現行中古とほぼ変わらない価格なら新品に近いほうを選ぶ」**という購買心理が働くため、ヴィンテージ品の価格には一定の抑制圧力がかかります。