【営業時間】10:00 ~ 19:00/不定休
2024.11.06
ダイヤモンドには、さまざまなカットの種類があります。
しかし、その種類が豊富すぎて、「どのカットが自分に合うのか」「各カットにはどのような違いがあるのか」と迷う方も少なくありません。
そこで今回は、ダイヤモンドのカットの分類方法から各カットの名称、それぞれの特徴について、プロの視点で解説。
さらに、カットの評価基準やそれに伴う価値の違いについても触れながら、ダイヤモンドのカットを選ぶためのヒントをご紹介します。
ダイヤモンドには、数え切れないほどのカットの種類があり、今も新しいカットが開発されています。カットは大きく以下の3つのタイプに分けられます。
これらに当てはまらない形状は「モディファイドカット」と呼ばれます。
ブリリアントカットとは、ダイヤモンドの中央から放射状にファセットが配置されたカットのことです。
多くのファセットは、三角形やひし形などの形で構成されています。
ダイヤモンドの輝きを最大限引き出すために開発されたカットであり、ダイヤモンドカットの主流となっている方法です。
ラウンドブリリアントは、丸い外形に、上部に33面、下部に24または25面が配置されたカットです。
ダイヤモンドのカットの中で唯一、理想的な形が明確に定まっているため、4Cのカット評価が可能です。
また、他のブリリアントカットも、このラウンドブリリアントの形を基礎として設計されています。
この理想的な形の数値は、1919年にイギリスの数学者マルセル・トルコフスキーが導き出しました。
しかし、現代の研究ではさらなる進展があり、当時の数値とは異なる基準が採用されています。
楕円形のダイヤモンドにブリリアントカットを施したものです。
縦長の楕円形が正しい向きで、上下左右が対称だと高評価になります。
縦横比や膨らみ具合は個人の好みに左右され、明確な基準はありません。
曲線的な形状のため、ジュエリーに柔らかい印象を与えます。
縦長・横長で異なる印象が楽しめ、多様なデザインに適しています。
四角形に丸みを持たせたカットです。
角や辺の丸み具合に違いがあり、さまざまな形状がありますが、基本は四角形です。
オーバルより角ばった印象を与えながらも、曲線が多用されているため柔らかな雰囲気があります。
ジュエリーにセッティングすると存在感が出るため、ボリューム感を求める方におすすめです。
またはマーキスは、「侯爵」を意味するフランス語に由来し、オーバルの上下を尖らせた舟形が特徴です。
細長いものからふっくらしたものまで形状はさまざまですが、理想は上下左右が対称であることです。
シャープな印象があり、尖った端は欠けやすいため、ファセットが通常のブリリアントカットと異なる場合もあります。
尖った部分を爪で保護するセッティングが一般的です。
ペアとは「洋ナシ」のことです。
涙型とも呼ばれるペアシェイプですが、正式には洋ナシや涙の形を逆さまにした形状をしています。
上部が丸く、下部がマーキースのように尖っています。左右の対称性が高いほど評価が高くなります。
ペアシェイプの正式な向きは、ジュエリーにセッティングする際には意識されません。
また、マーキースと同様に先端の欠けには注意が必要です。
ハート型のダイヤモンドにブリリアントカットを施したものです。
他のファンシーシェイプ(ラウンドブリリアントカット以外の形に研磨されたもの)と同じく、左右の対称性が重要な評価基準です。
ただし、ハートの形自体は個人の好みによるため、評価の対象にならない場合が多いです。
ラウンドブリリアントのような厳格な基準はなく、自分好みの形を選ぶことがポイントです。
ステップカットは、ガードル(ダイヤモンドの上部と下部の間にある外周部分)と平行にファセットを配置するカットです。
このカットは輝きを抑えることで、宝石の色味を際立たせる効果があります。
ダイヤモンドにステップカットを施すと、クールで落ち着いた印象を与えるのが特徴です。
ステップカットはブリリアントカットのように、各ファセットの角度や大きさが厳密に求められることはありません。
しかし、輝きが抑えられる分、内部のインクルージョン(内包物)が目立ちやすくなるため、クラリティグレードが低い場合、ダイヤモンドの品質が劣って見えるというデメリットもあります。
長方形の4つの角を落とし、ステップカットを施した形状です。
名前の通り、エメラルドによく使用されます。静かで澄んだ水面のような上品な輝きが特徴です。
内部までよく見通せることから、ブリリアントカットではわかりにくいダイヤモンドの透明度を楽しめる魅力があります。
正方形の外形をしたカットです。
スクエアシェイプにステップカットを施すと、エメラルドカット以上にスッキリとした印象になります。
また、石畳のようにぴったりとダイヤモンドを並べることができるので、沢山の石を敷き詰めるデザインのジュエリーにも使用されます。
スクエアカットは、ファセットの稜線が平行であることが重視されます。4辺の長さが均等でないと、全体のバランスに影響を及ぼします。
長方形のステップカットで、「棒」や「杖」を意味するフランス語から名付けられました。
ダイヤモンドの場合は、長方形の外形を持ったステップカットのことをバゲットカットといいます。
また、レクタンギュラーカットと呼ばれることもあります。
主に小さなダイヤモンドに施され、脇石として華やかさを添えるジュエリーに多用されます。
単独でも清涼感のある輝きを楽しむことができます。
片方の端が細くなった台形状のステップカットで、正式には「テーパードバゲットカット」と呼ばれます。
ただし、ほとんどのテーパードカットが長方形をしているため、通常は形状名を省略したテーパードカットという名称で呼ばれています。
バゲットカットと同様に脇石として使用されることが多く、並べると扇形のデザインを演出します。
1902年にロイヤル・アッシャー社が発表したオリジナルカットです。
その後、2000年に「ロイヤル・アッシャー・カット」として改良されました。
アッシャーカットの形状は、58面のファセットで構成されたスクエアエメラルドカットです。
ロイヤル・アッシャー・カットはファセットの数が増え、74面が施されています。
ステップカットの清涼感と華やかさを兼ね備えた、美しいカットが特徴です。
ミックスカットとは、1つの石の上部と下部で異なるカット形状を施すカット方法です。
たとえば、上部にステップカット、下部にブリリアントカットを組み合わせたものがミックスカットに該当します。
逆の組み合わせも同様にミックスカットと呼ばれます。
このカット方法は、ダイヤモンドに施されることは少なく、主に他の宝石に使用されます。
しかし、ダイヤモンドにミックスカットを採用すると、独特な輝きを生み出すため、特別なデザインのジュエリーに使われることがあります。
また、企業が自社のオリジナルカットとして開発することもあります。
モディファイドカットとは、特定のカットを指す言葉ではなく、「改良を加えた」という意味を持つカットです。
つまり、既存のカットに改良を加えた形を指し、主にブリリアントカットの改良版を示します。
たとえば、ラウンドブリリアントのファセット数を増やした場合、そのカットは「ラウンドモディファイドブリリアント」と呼ばれます。
また、外形を変えた場合もモディファイドと表現されます。
たとえば、マーキースブリリアントの曲線を直線化し、角ばった形に改良したものは「モディファイドマーキースブリリアント」となります。
モディファイドカットの中で最も有名なカットです。
正方形または長方形の外形に、改良されたブリリアントカットを施したもので、正式な名称は「スクエア」または「レクタンギュラーモディファイドブリリアントカット」となります。
このカットは1970年代後半に開発された比較的新しいデザインです。通常、四角形のダイヤモンドにはステップカットが施されますが、プリンセスカットはその常識を覆し、力強い煌めきを持つのが特徴です。